医療保険の見直し方と選び方!手厚い保障の必要性はいかに!?

最近の医療保険はとても充実しています

多くの医療保険の中から自分に最適なものを選ぶために

入院のイメージ

入院時にその日数によって保険金が支払われるタイプの保険である「医療保険(または入院保険)」は、第三分野の保険と呼ばれ、生命保険会社だけではなく損害保険会社も扱うことができるためとても種類が多い保険です。

 

また、入院時のリスクに備えるためにも加入している方はとても多いです。
実際に、私も終身医療保険と、医療保険の一種である終身がん保険に加入しています。
私が入った医療保険とがん保険

 

以前は医療保険は単品で加入できなかった?

一昔前は、医療保険は大手生命保険会社の定期死亡保険のオプションとしての取り扱いがほとんどでした。
そのため、医療保険単品で加入されていない方も一定数いらっしゃいます。

 

ですが、近年は保険の自由化が進み、それにより医療保険の商品開発も進んでいます。
そのため、充実した保障で格安の保険料を実現しているものも多くあり、見直しを行うことで保障を充実させながら保険料を安くするということも可能です。

 

また、医療保険は「何に備えるのか」という最も重要な点が忘れられがちでもあります。

 

医療保険を見直したり、選ぶ際にはそうした点を重視して選ぶ必要があります。
以下では、医療保険を見直したり選ぶ際に、具体的にどのように見て行けば良いのかを説明します。

 

医療保険に加入するそもそもの理由とは

意外と知られていない「医療保険に入る意味」

まず、医療保険に加入するそもそもの理由とは何かというと、次のとおりです。

ポイントの説明

 

「公的保障での不足分を補うため」

 

公的保障とは、社会保険、つまりご加入の「健康保険制度」のことです。
日本国民であれば、「皆保険制度」により、

  • 会社員の方であれば「協会健保」等
  • 公務員の方であれば「共済組合」
  • 自営業の方であれば「国民健康保険」

と言った、様々な社会保険に加入しています。
医療保険とは、そうした社会保険で足りない部分を補うために加入するものです。

 

意外と、この点を見落としていらっしゃる方は多いです。
その結果、本来不必要なほど多くの保障を付けてしまい、保険料が高くなってしまうということになりがちです。

 

では、社会保険で足りない部分を補うために、医療保険ではどのようなことに気を付ければ良いのかを次の項目で説明します。

医療保険で重要なのは「入院日額保障」と「入院保障日数」

まずは医療保険の基本的な仕組みを知っておこう!

社会保険で足りない部分を知るために、まず、医療保険の仕組みを簡単に説明します。

 

複雑に思える医療保険ですが、実は非常にシンプルな作りです。
基本的な保障は以下の3つで成り立っています。

 

医療保険を構成する3つの要素
  • 入院日額保障 : 入院1日当たりに5,000円〜10,000円の保険金が支払われる
  • 入院保障日数 : 1回の入院で保険金が支払われる限度日数
  • 手術給付金 : 手術をすると一律又は手術の内容に応じた給付金が支払われる

そして、ここに特約等を付加していくようになります。

 

重視すべきは「入院日額保障」と「入院保障日数」

入院する男性

上記のような仕組みの医療保険ですが、社会保険での不足を補うために重要なのは、「入院日額保障」「入院保障日数」の2点です。

 

入院は、入院日数が長引けば長引くほどお金がかかります。

 

また、社会保険のおかげで医療費の自己負担は3割となっていますが、それ以外の「食事代」や「差額ベッド代(個室ベッド代)」は全額自己負担となります。
そして、それらの費用に「入院日額保障」で備えることになります。

 

つまり、「入院日額保障」は、社会保険外の自己負担分に備えるための保険金ということになります。
また、それが保障される日数としての「入院保障日数」も重要となってきます。

 

ただし、もちろんどちらも保障が厚くなればなるほど月々の保険料は上がります。
しかし、厚ければ厚いほど良いと言うわけでもありません。
そのため、その保障の厚みを適切に設定することで、保障内容と保険料のバランスをとる必要があります。

 

次では、それぞれの保障をどの程度確保すればよいかを見て行きます。

「入院日額保障」はどの程度確保すればよいのか

医療費の自己負担分を見てみよう

「入院日額保障」の保障内容を決めるためには、医療費の自己負担分がどの程度の金額になるかを考えてみることが大切です。
以下では、例を基にどの程度が自己負担分となるのかを紹介します。

 

平成25年の協会健保加入者の一回の入院あたりの医療費総額は概ね59万円となっています。
なお、医療費総額とは「自己負担分3割+社会保険負担分7割」のことです。
(参考 厚生労働省 『医療費給付実態調査』)

 

これを基に、考えていくと、30日の入院では自己負担額は83,330円となります。

≪入院1日当たりの自己負担額例≫

 

1日当たりの自己負担額

 

このように、入院時の社会保険外の自己負担額は1日当たり概ね2,800円程度となりました。

 

なお、今回の計算では高額療養費制度を用いています。
これは、1ヶ月のの自己負担額が限度額である80,100円を超えた場合に、自己負担額が圧縮される制度です。
そのため、先程の計算では自己負担額が177,000円ではなく、83,330円になっています。

 

高額療養費制度は所得によって異なる

なお、高額医療費制度は、所得により適用される限度額が異なります。
また、平成27年1月から改正され、適用の区分が細かくなっています。
制度の詳細については、以下ページで詳しくまとめています。
医療保険加入時に考えたい「高額療養費(高額医療費)制度」とは

 

医療費以外の自己負担分を見てみよう

ここまでお話ししたのは、社会保険が適用になる分の自己負担額についてでした。

 

入院での自己負担額と言った際には、医療費として社会保険で一部負担となるもの以外に、全額自己負担となる医療費以外の費用があります。
そうした全額自己負担となる費用としては以下のものが挙げられます。

 

全額自己負担となる費用
  • 食事代:1,080円(入院時食事療養費制度により固定)(参考協会健保
  • その他雑費:1,000円程度(TV代、おやつ代、雑誌代等)
  • 差額ベッド代:2,500円〜7,500円(利用しなければ必要ない)

 

よって、これら全額自己負担となるものと、先ほどの医療費として社会保険で一部負担となる分の自己負担額2,800円を足すと、差額ベッド代の有無で1日当たりの自己負担額の総額は以下のようになります。

 

差額ベッド代の有無毎の入院時の自己負担額総額

差額ベッド代の有無毎の入院時の自己負担額総額

  • 差額ベッド代がない場合で4,580円
  • 差額ベッド代がある場合で7,080円〜12,080円

このように、差額ベッド代の有無で、自己負担額が大きく変わってきます。
ですが、少なくとも入院日額保障として5,000円は必要となります。

 

会社員と自営業者でも異なる

ただし、会社員と自営業者で備えたい入院日額保障の額も異なってきます。
結論を先に書きますと、

  • 会社員の場合は入院日額保障5,000円
  • 自営業者の場合は入院日額保障10,000円

で備えるのが望ましいです。

 

次の項目では、その理由を説明します。

「会社員」と「自営業者」では入院保障日額の備え方が違います

会社員と自営業者で入院日額保障額を分けて考えよう

健康保険への加入

会社員と自営業者では、医療保険の入院日額保障で備えておきたい金額が異なってきます。
その理由は、加入している社会保険(健康保険制度)の違いのためです。

 

会社員は、協会健保等の健康保険組合の社会保険に加入しています。
対して、自営業者は、自治体が保険者となる国民健康保険に加入しています。

 

会社員と自営業者が加入する社会保険は概ね似た制度ではありますが、会社員の社会保険にはあって、国民健康保険にはない制度があります。
それは「傷病手当金制度」です。

 

傷病手当金制度とは

傷病で休む会社員

傷病手当金制度とは、傷病等により給料を受け取ることができない期間が生じた場合に、その間の生活費保障として、一定の金額が支払われる制度です。

 

傷病手当金の金額は、社会保険料の算定基準となる給料月額(標準報酬月額)の2/3程度支払われます。
これは概ね毎月の手取り額と同程度となります。

 

その金額を、最長で1年6か月間受け取ることができます。
そのため、疾病を原因として入院したとしても、入院中の生活費は傷病手当金でまかなうことが可能です。

 

なお、傷病手当金について、更に詳しく以下のページで紹介しております。
医療保険を考える際にはぜひ知っておきたい「傷病手当金制度」とは

 

自営業者の場合は?

以上ように、会社員であれば「傷病手当金制度」があります。
しかし、これは自営業者が加入する国民健康保険にはない制度です。

 

そのため、自営業者は、入院などにより営業ができない場合の生活費の保障がありません。
そうした理由から、自営業者の場合は、医療保険の入院日額保障を考える際に、生活費の保障という意味も込めて考える必要があります。

 

会社員と自営業者で備えたい入院日額保障額

以上の理由から、会社員であれば、健康保険に「傷病手当金」という入院時の生活保障があるため、入院日額保障に生活費を含む必要がありません。

 

反対に、自営業者は、国民健康保険に傷病手当金制度がないため、入院日額保障に生活費の保障も含んで考える必要があります。

 

よって、入院日額保障はそれぞれ

  • 会社員 : 5,000円
  • 自営業者 : 10,000円

を目安として備えておくと安心です。

「入院保障日数」はあまり多くなりすぎないように

入院保障日数は短いものから長いものまでさまざま

入院している患者のイメージ

入院保障日数は、入院日額の支払いが保障される日数です。

 

医療保険における入院保障日数は、各保険商品で差があります。

  • 少ないものでは30日
  • 最も設定の多いものでは60日や120日
  • 長めのもので180日
  • 最も長いもので360日

 

長いものほど安心という気持ちはもちろんあると思います。
ですが、保障される日数が長ければ長いほど月々の保険料は高額になります。

 

入院保障日数を考えるには、一般的に入院が何日程度になるのかが分かれば参考になります。
では、実際に入院した場合の日数はどの程度になるのかを、統計調査から見てみます。

 

厚生労働省の統計からみる平均入院日数

厚生労働省では「病院報告」という統計を行っています。
病院報告は、1日当たりの患者数や、入院日数等を調べたものです。

 

ここでは、平成27年の1年分のデータを見てみます。

 

平成27年における平均入院日数
対象月 平均入院日数
(一般病床)
平成27年1月 16.6日
2月 17.0日
3月 16.6日
4月 16.4日
5月 17.4日
6月 15.8日
対象月 平均入院日数
(一般病床)
平成27年7月 15.9日
8月 16.2日
9月 16.5日
10月 16.1日
11月 16.5日
12月 15.9日

 

 

 

 

 

 

 

平成27年の
平均入院日数
16.4日

 

【出典】厚生労働省 『病院報告

 

以上のように、厚生労働省の調査では、平成27年の平均入院日数は16.4日となりました。
なお、以前は平成24年分のデータを掲載してい増しtが、平成24年のものでは平均17.6日となっていました。
近年は、病院に入院する日数が短くなってきていますが、3年間で1.2日短縮されていることが分かります。

 

生命保険文化センターの統計からみる平均入院日数

公益財団法人生命保険文化センターという所でも、入院日数に関する統計を行っています。
平成25年のデータが出ていましたので、そちらから引用します。

 

平成25年入院時の入院日数

生命保険文化センター『生活保障に関する統計』

 

 

平成25年の
平均入院日数
19.7日

 

【出典】公益財団法人生命保険文化センター 『平成25年 生活保障に関する調査

 

以上のように、生命保険文化センターの調査では、入院時の平均日数は19.7日となっています。
こちらは厚生労働省の統計調査よりやや長めですが、それでも20日を切る水準となっています。

 

入院保障日数についてのまとめ

統計データの発表

以上が、各統計における平均入院日数でした。

  • 厚生労働省の統計では16.4日
  • 生命保険文化センターの統計では19.7日

となっています。

 

また、生命保険文化センターのデータでは、全体の87.5%が30日以下の入院となっています。
60日以下の入院まで見てみると、全体の95.6%となっています。

 

以上の点から、入院の95%程度の場合で、入院保障日数は60日間で十分足りることとなります。
そのため、医療保険の入院保障日数を考える際には、30日〜60日までを選んでおけば間違いがないと言えるでしょう。

結局、ここまでの条件で医療保険はいったい毎月いくらになるのか

具体的に保険料はいくらくらいになるのか

ここまでの条件をまとめると以下のようになります。

  • 入院日額保障 : 5,000円〜10,000円
  • 入院保障日数 : 60日

条件が揃ったところで、実際にこの条件で医療保険を選んだ場合にいくらになるのかを見てみたいと思います。
ここで例として挙げるのは、オリックス生命の医療保険『新CURE』です。
安さと保障内容の良さのバランスが取れており、FPさんから提案されることが多い医療保険です。

 

オリックス生命 『新CURE』での保険料例

オリックス生命の新CURE

試算に当たっては、次の条件で計算します。
また、保険料は男性と女性のそれぞれの場合を紹介します。

 

保険料試算条件
  • 保険料払込期間:65歳まで
  • 保障期間:終身(一生涯)
  • 付加する特約:先進医療特約

 

男性の保険料
入院日額5,000円 入院日額10,000円
30歳で加入 2,022円 3,917円
40歳で加入 3,171円 6,201円
50歳で加入 5,902円 11,627円

 

女性の保険料
入院日額5,000円 入院日額10,000円
30歳で加入 2,276円 4,421円
40歳で加入 3,208円 6,268円
50歳で加入 5,898円 11,608円

 

このようになりました。
こちらの条件では、保険料の支払いは65歳で終了し、あとは保障のみが残るようになります。
さすがに、50歳での加入だとやや保険料は高めに感じますが、それでも一生涯の医療保障が得られるのでかなり割安と言えます。

実際に同一条件で医療保険を比較してみると保険料は様々です

医療保険は必要以上に備えすぎないように

紹介する男性

以上が、医療保険を見直し、または選ぶ際に考えるべき

  • 入院日額保障
  • 入院保障日数

についてでした。

 

今、毎月医療保険を支払っている方は、ご自分の保障内容と比べてみていかがでしたでしょうか?
また、実際に支払っている保険料とも比べてみていかがでしょうか?

 

少し前の保険の場合、医療保険が手厚すぎることが多い

すでに医療保険に加入している方の場合、保険証券で保障内容を見てみると、かなり多めの保障に加入している方が多いのではないかと思います。
その理由は、一昔前の生命保険の加入のしかたにあります

 

一昔前までは、保険会社の外交員に勧められて保険に加入することがとても多かったです。
そうした場合、どうしても必要以上の保障を提示されることが多く、そのため保障が多めになっている場合が非常に多いです。

 

また、一昔前の、終身死亡保険に医療保険がオプションとして付加されたタイプの保険は、医療保険部分が保険期間が限られた定期保険となっていることが多いです。
そのため、更新でどんどん保険料が上がったり、満期を迎えると保障が終了してしまったりします。

 

医療保険の場合、定期で更新し続けるより、終身で払込んでしまった方が保険料の総額は安くなります。
そのため、そうした方の場合は特に最近の終身医療保険への見直しが有効です。

 

医療保険を見直し・選ぶ際に大切なことは比較すること

いざ、必要な入院日額保障や入院保障日数が分かっても、医療保険を見直す場合には、各社比較することが大切です。
何故なら、同じ保障内容でも保険会社によっては料金に差があるためです。

 

例えば、有名どころ3社の医療保険では次のような差があります。

 

比較条件
  • 年齢性別:30歳男性
  • 払込期間:65歳払込
  • 保険期間:終身
  • 入院日額保障:5,000円 
  • 入院保障日数:60日

 

終身医療保険の保険料の違い
保険商品 オリックス生命『新CURE』のロゴ
オリックス生命
新CURE
メットライフ生命『新終身医療保険』のロゴ
メットライフ生命
新終身医療保険
AIG富士生命『さいふにやさしい医療保険』のロゴ
AIG富士生命
さいふにやさしい
医療保険
毎月の保険料 2,022円 2,087円 1,914円

 

このように、ほぼ同じ保障内容でも保険料は異なってきます。
その理由は、保障内容の他に、各社独自の付帯サービス等を付けていることがあるためです。
例えば、上記のメットライフ生命と富士生命は『T-PEC(ティーペック)』という健康相談サービスを付けています。
セカンドオピニオンサービス【T-PEC】とは

 

このように、医療保険は比較して加入することが大切ですが、それぞれの会社の保険料や付帯サービスを自分で調べるのはとても大変です。
そこでおすすめしたいのが、FP(ファイナンシャルプランナー)さんの力を借りるという方法です。

医療保険を比較して加入する最良の方法

FPさんに相談すると何故良いのか

私や妻自身が、保険を見直す際にFPさんの力を借りて、数多くの医療保険やがん保険のことを教えてもらいました。
そして、FPさんが私に合うものとして選んでくれた保険数社を比較して、医療保険とがん保険に加入しました。

 

保険無料相談会社のFPさんは、多くの会社の保険を扱うことができるため、1社に縛られることなく多くの保険会社の中から相談者に合う保険を提案してくれます。
そのため、複数社の保険を比較検討したい場合にとても頼りになる専門家です。

 

保険とは長い付き合いになるため、信頼できる相手から加入しておくと、その後安心感があります。
相談するという手間はありますが、医療保険選びの際に少し時間を作って話を聞いてみるときっと良い医療保険に出会えるはずです。

 

ぜひ、ご自分がやりやすい方法で医療保険を比較してみて、良い医療保険への見直しを行ってくださいね!

 


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