かんぽ生命にはがん保険がない!?

かんぽ生命は世界最大の保険会社

サラリーマンのイメージ

「かんぽ」といえば、郵政民営化前までは郵便局が扱い、
現在はかんぽ生命保険が扱う保険商品の愛称として有名です。

 

そして、
かんぽ生命は保険契約数800万件超を超える世界最大の生命保険会社です。

 

テレビCMでもよく耳にしますよね。
「終身保険は新ながいきくーん」
という感じで。
(「新ながいきくん」については、こちらでコメントしています。)

 

そのネームバリューだけでうっかり契約してしまいそうになりますが、
実は「がん保険」に相当するものがありません。

 

医療保険につけられる「がん特約」に準ずるものもありません。
どうしてなのでしょうか。

 

かんぽ生命に「がん保険」がない理由

発見

かんぽ生命に「がん保険」がない理由は
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の影響です。

 

詳細は以下のとおりです。

 

かんぽ生命は日本生命と業務提携を結び、
「がん保険」を商品開発しようとしていました。

 

しかし、それに疑義を述べたのがアメリカの保険業界です。
それはなぜか。

 

まず、日本国内の「がん保険」は、アメリカの会社であるアフラックとアリコが7割超のシェアを持っています。
そのため、世界最大の保険会社であり、政府の後ろ盾※もあるかんぽ生命が「がん保険」業界に参集してくるのを恐れたのです。

 

※かんぽ生命の株式は、現在政府は100%保有しており、いずれは売却されることとなっています。
ですが、2012年4月に成立した郵政民営化見直し法案によれば、
売却後も株式の1/3は政府が持つこととなっているため、つまり政府の後ろ盾があると言えます。

 

そのため、2012年5月にかんぽ生命は、TPP参加への影響を懸念して、
当分の間「がん保険」に参入しないことを表明しました。

 

 

以上のとおり、かんぽ生命にがん保険に準ずる商品が存在しないのは、
TPPという政治的な理由によるものということになります。

 

ただし、かんぽ生命は「がん保険」に参入する気はあるようなので、
いずれは「がん保険」が売り出されることもあるかもしれません。

【2013年4月追記】かんぽ生命の新商品は当分の間認可されないことに

TPP参加により早速…

黒船

2013年になって、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に日本政府が参加することを表明しました。

これにより、さっそくかんぽ生命の話題が出てきました。

 

日米両政府が発表するTPP参加に関する合意文書では、日本政府の影響が残る日本郵政傘下のかんぽ生命が、がん保険などの新商品の申請をしても、日本政府は当分の間は認可をしないことが盛り込まれたそうです。

 

これは、アメリカが自国の保険会社が市場競争で不利になるのを警戒したことへの、日本政府としての対応のようです。
上でも書きましたが、現在は国内のがん保険のシェアは、

  • アフラック
  • メットライフ生命

が大半を占めています。
そのため、アメリカとしては、日本政府の影響が残るかんぽ生命の参加を嫌ったようですね。

 

認可しない期間の「当分の間」とは、これは数年になるといわれています。
つまり、暫くの間はかんぽ生命からはがん保険が出ることはなさそうです。

【2014年12月追記】全郵便局でアフラックのがん保険を販売

かんぽ生命とアフラックの業務提携

郵便局

 

かんぽ生命はもともとアフラックと業務提携をしていましたが、それを拡大するようです。
それまで1,000の郵便局でのみ販売していたアフラックのがん保険を、今後は国内約20,000の全ての郵便局で発売するそうです。
【参考】かんぽ生命『アフラックの「がん保険」の取扱開始について

 

 

これには2つの狙いがあるようです。

  • 新規事業凍結によりがん保険を販売できないかんぽ生命の事業拡大
  • TPP交渉のためのアメリカへの保険市場の献上

 

新規事業凍結によりがん保険を販売できないかんぽ生命の事業拡大

かんぽ生命はもともと日本生命と組んで、新規がん保険商品の開発を目指していました。
ところが、4月にがん保険商品の認可が凍結されたことで方針転換をしたようです。

 

かんぽ生命も民営化以後、事業規模が拡大しているとは言えなません、
そこで、新商品を開発するのではなく、既存の商品を代理販売して手数料を稼ごうと言う方向へと移ったようです。
そのために、日本生命ではなくアフラックと業務提携をしたようです。

 

TPP交渉のためのアメリカへの保険市場の献上

もともとアメリカは日本の保険市場については批判的でした。
というのも、健康保険等の国民皆保険制度があるために、医療保健やがん保険等の第3分野と呼ばれる保険商品の売り上げが悪いと考えているからです。

 

アメリカは生命保険大国です。
そのため、アメリカとしては日本にも保険商品を販売したいと考えていました。
そこで、国民皆保険制度をなくさせ、第3分野の保険商品を売りやすい市場を開放することを求めていたのです。

 

日本政府としては、とりあえず、がん保険を国内最大の販売元である郵便局で販売することで、アメリカの矛を収めさせ、交渉を進めようと考えたようです。

 

かんぽ生命の「がん保険」について個人的に思うこと

悩み

ここからはかなり個人的な意見ですが…。

 

もし仮に、かんぽ生命が独自の「がん保険」を販売したとしても、魅力的な商品であるかは疑問です。
というのも、現在かんぽ生命から出ている保険(医療保険、学資保険等)は他社に比べて見劣りするとと感じます。

 

例えば、
医療保険では、先進医療特約がなかったり、
学資保険では、返戻率が元本割れをしていたり…。

 

そのため、おそらくがん保険が出ても、競合他社には及ばない内容になるのではないかと思います。
かんぽ生命には頑張ってほしいという気持ちはありますが、現状ではそのように感じてしまいます。

 

アフラックのプランは?

また、かんぽ生命がアフラックのがん保険を販売したとしても、すすめられるがままに加入するのは得策ではありません。
かんぽ生命が取り扱うアフラックのがん保険は、アフラックのものと保障内容が同じではないのです。
「JPオリジナルプラン」という名称の保障内容が削られたものとなっています。

 

詳細については、別ページでアフラックの元々のプランと比較し、加入すべきかどうかを検討しています。
参考になれば幸いです。
かんぽ生命が販売するアフラックのがん保険は入るべき?