定期付終身保険の見直し時に勧められる『転換』その正体とは!?

日本古来の「定期付終身保険」と「転換」

名刺交換

従来、日本で保険といえば「死亡保険」のことを指しました。
そして、大手生命保険会社がそろって販売していた死亡保険に「定期付終身保険」というものがあります。

 

近年、新たに参入してきたカタカナの名前の生命保険会社が出している死亡保険に加入された方以外は、その「定期付終身保険」に加入されている方がとても多いと思います。

 

そうした、定期付終身保険ですが、加入をして数年経過すると、保険会社の営業担当者から見直しを提案されることがあります。
その見直しの際に「転換」というものを勧められることがあります。

 

その際「転換」について説明を受けると結構お得に感じます。
でも、もちろん、そんなお得なだけではないのです…。

 

以下では、「定期付終身保険」について説明し、「転換」の仕組みについて説明します。

 

伝統的な死亡保険である「定期付終身保険」は二段重ねの保険

日本古来の死亡保険

定期付死亡保険は、日本の大手生命保険会社がずっと販売してきた保険商品です。
そのため、日本では圧倒的に加入者が多い保険です。

 

ただ、名前だけを見ても何となく意味が分からないですよね。
「定期」なのか、「終身」なのか。

 

定期付終身保険の仕組み

定期付終身保険の正式名称は『定期保険特約付き終身保険』と言います。

 

メインの「終身保険」に特約の「定期保険」が付加されたものです。
定期付終身保険の仕組みを図で表すと、以下のような感じになります。

≪定期付終身保険の仕組み≫

 

定期付終身保険の仕組み

 

何故、このような形になったかというと、一生涯の保障を手頃な価格で得るためです。
仮に、30代男性が、死亡保険金として4,000万円を確保しようとした場合に、終身死亡保険だけでは毎月の掛け金が70,000円程度になってしまいます。

 

それでは高額すぎるため、定期死亡保険にすれば、毎月10,000円程度で済みます。
ただし、定期死亡保険では保険期間が限られるため、老後にお葬式代等としては使うことができません。

 

そこで、

  • お葬式代としての一生涯の死亡保障を「終身死亡保険」で
  • 子供が大きくなるまでの大きな生活保障を「定期死亡保険」で

分担して確保するようにしたものが「定期付終身保険」です。
いわば、二段重ねの保険となっています。

 

この仕組みであれば、保険料は毎月概ね15,000円程度で済むわけです。

定期付死亡保険の「転換」とは何か

転換とは

では、いよいよ本題ですが、定期付死亡保険の見直し時の「転換」とはどんなものかを説明します。

 

転換とは、定期付死亡保険の解約返戻金分を頭金として、毎月の保険料を変えずに、定期死亡保険部分の死亡保険金額を大きくすることです。

 

ただ、これだけではイメージが湧きづらいと思うので、具体例で説明します。

 

具体例で説明します

先ほどの例と同じように、

  • 200万円の終身死亡保険
  • 3,000万円の定期死亡保険

が合わさった定期付死亡保険に加入している場合で考えます。

 

今回、転換を行い、定期死亡保険部分を4,000万円にするとします。
定期死亡保険の保障額を1,000万円上乗せするわけです。
その場合、定期死亡保険の死亡保険金額が上がるため、月々の保険料は当然高くなりそうです。

 

ですが、転換を使うと保険料はほとんど変りません。
それはなぜかと言うと、3,000万円に上乗せされる1,000万円分の保険料として、終身死亡保険の150万円分を解約して、その解約返戻金を充当するためです。

 

そうすることで、終身死亡保険の死亡保険金額は少なくなりますが、毎月の保険料を変えずに、定期死亡保険の保障額を大きくすることができます。

 

図で表すと以下のような感じになります。

≪定期付終身保険の『転換』の仕組み≫

 

定期付終身保険の『転換』の仕組み

 

このように、終身死亡保険の解約返戻金を、定期死亡保険の増額分(1,000万円)の保険料に充当することで、毎月の支払保険料額を変えずに、大きな保障を確保することを『転換』と言います。

 

た  だ  し!
もちろん、デメリットもあります。

「転換」によるデメリットは結構大きいです

驚く男性

転換によるデメリット、それは、

 

せっかく貯蓄していた終身死亡保険の保険料が、掛捨ての保険の保険料になってしまう

 

ということです。

 

転換を行う事で、毎月の支払保険料は変えずに、より大きな保障を得ることができます。
ただし、保険料を変えなくするために、死亡保障増額部分の保険料として充当したのは、貯蓄性の高い終身死亡保険で貯蓄していた部分のお金です。

 

いわば、終身死亡保険が定期死亡保険に切り替わってしまったわけです。
せっかく終身で貯めていたのに、掛捨てに切り替わってしまうのはもったいなくはないでしょうか?

 

また、当たり前ですが、終身死亡保険の一部を解約したことで、終身死亡保険での死亡保障は少なくなります。
上の例では、当初200万円だった終身死亡保険での死亡保障が50万円に減少してしまっています。

 

これではせっかくお葬式代として貯めていた終身死亡保険の意味がなくなってしまいます。

世の中そんなにうまい話はありませんね…

調べる男性

以上が、定期付終身保険での「転換」についてでした。

 

ご覧いただいたとおり、定期死亡保険の大きな保障を得る代わりに、長い間貯めてきた貯蓄分のお金を失くしています。
大きな保障は得られますが、その分、やはり大きなものを失っています。

 

世の中うまい話はありませんね…。

 

実際に、保険会社の営業担当者から「転換」を勧められる場合には、
「毎月の保険料は変わらないのに大きな保障が得られる」
という点が強調されて説明されるため、一見お得なように思えます。
ですが、その裏ではしっかりと失うものがあるわけです。

 

もちろん、そうしたデメリットの説明もされますが、うっかりしていると分からずに聞き逃してしまいます。
もし、「転換」を勧められた場合には、どうするかは自分が納得がいくまで営業担当者から話を聞いたり、調べたりして検討してみてくださいね。

 



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