高額療養費制度が変わります
高額療養費制度とは?
入院や手術等で高額な医療費がかかった際に、その支払いを一定限度に抑えてくれる制度があります。
それが「高額療養費制度」です。
この制度を利用することで、高額な医療費がかかっても、自己負担はかなり抑えられていました。
一般的な所得の方であれば、総額100万円の医療費がかかったとしても、自己負担は9万円程度で済みました。
27年1月から改正
この高額療養費制度ですが、平成27年1月1日から改正されます。
その改正により、
- 今までより負担が増える人
- 今までより負担が減る人
が出てきます。
どのように変更されるのか説明します。
高額療養費制度改正のポイント
所得区分が増える
今回の改正のポイントは2つあります。
- 対象は70歳未満の方
- 所得区分が3区分から5区分に増える
という点です。
2つ目のポイントの、所得区分の増加により、負担が増える人と減る人に分かれます。
所得区分表を見てみよう
所得区分の増加ですが、次のように3つから5つに増えることになります。
旧制度
所得区分 | 1ヶ月の自己負担上限額 |
---|---|
上位所得者 健保:標準報酬月額53万円以上 |
150,000円+(医療費−500,000円)×1% |
一般所得者 健保:標準報酬月額53万円未満 |
80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
低所得者 住民税非課税者 |
35,400円 |
健保:協会けんぽ等の会社での健康保険に加入している場合
国保:地方自治体の国民健康保険に加入している場合
以上の旧制度の「上位所得者」と「一般所得者」が更に2つずつに細分化されます。
新制度
所得区分 | 1ヶ月の自己負担上限額 |
---|---|
上位所得者:区分ア 健保:標準報酬月額83万円以上 |
252,600円+(総医療費−842,000円)×1% |
上位所得者:区分イ 健保:標準報酬月額53〜79万円 |
167,400円+(総医療費−558,000円)×1% |
一般所得者:区分ウ 健保:標準報酬月額28〜50万円 |
80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
一般所得者:区分エ 健保:標準報酬月額26万円以下 |
57,600円 |
低所得者:区分オ (住民税非課税者) |
35,400円 |
負担が増える人と減る人
以上の変更により、負担が増える人と減る人が出てきます。
具体的に、それぞれの区分で次のようになります。
所得区分 | 負担の増減 |
---|---|
上位所得者:区分ア | 負担:増 |
上位所得者:区分イ | 負担:増 |
一般所得者:区分ウ | 負担:変化なし |
一般所得者:区分エ | 負担:減 |
低所得者:区分オ (住民税非課税者) |
負担:変化なし |
このように、所得が多い人ほど負担が増えています。
そのため、入院や手術をした際に自己負担が増えることになります。
平成27年1月からの高額療養費(医療費)制度の改正点とは?関連ページ
- 仕事ごとの社会保険制度の全体像
- 一口に「社会保険」と言っても、健康保険、年金保険、介護保険等があり、更に就いている仕事によっても加入する保険制度が異なっています。
生命保険の見直しには、社会保険との関わりを知ると役立ちます。
そのために、まず社会保険制度の全体像を説明します。 - 遺族年金の基礎知識
- 自分が老後にもらえる年金について知る機会は何度かありますが、配偶者が亡くなった場合の遺族年金についてはなかなかその機会はありません。
しっかりと把握し、万一の場合に備えることはとても大切です。遺族基礎年金と遺族厚生年金について説明します。 - 子供の有無・年金制度別の受給できる遺族年金の違い
- 配偶者が亡くなった際、遺族年金が大きな助けとなりますが、年齢や加入している年金制度により受給できる期間や種類が異なってきます。
家族のために遺族年金を知っておくことは大切です。
いつどのような遺族年金が受給できるのか説明します。 - 医療保険加入時に考えたい「高額療養費制度」とは
- 国民健康保険等の各種健康保険制度には、高額な医療費がかかった場合の負担を軽減する「高額療養費(医療費)制度」があります。
医療保険加入時にこの制度をしっかりと押さえておくことで、適切な保険選びができます。
平成27年の改正も踏まえて説明します。 - 「傷病手当金制度」とは
- 会社員が加入する健康保険や、公務員が加入する共済組合では怪我や病気で仕事を休んだ場合の休業補償として「傷病手当金制度」というものがあります。
実際に、どの程度の金額が支給されることとなるのか、実際の計算例を用いて説明します。 - 公的年金はいくらもらえる?しっかり考えておきたい老後の生活費!
- 老後に年金暮らしとなる際、夫婦二人であれば何とかなります。
ただ、配偶者が亡くなり一人になると、公的年金だけでの生活はかなり大変です。
年金生活中に配偶者が亡くなった場合年金はどのように変化するのか、またどう備えたら良いのか説明します。 - 雇用保険の失業給付の仕組みとは
- 失業時の公的保障において最も力を発揮するのは「失業給付(失業保険・雇用保険)」です。
しかし、実際に受給できる金額や期間、必要な条件についてはあまり知られていません。
失業給付の仕組みや妊娠・出産時の延長申請等について分かりやすく紹介します。 - 出産手当金や一時金はいくらもらえる?妊娠出産時の公的補助
- 妊娠や出産時には原則、健康保険証は使用できません。
その代わり、出産手当金や出産一時金等の各種公的補助制度が存在します。
妊娠や出産時に利用できる公的支援サービスについて、それぞれの内容を分かりやすく紹介します。 - 児童扶養手当はいくらもらえる?支給日や所得制限も解説!
- 「児童手当」と名前が似ていながら全く異なる公的保障として「児童扶養手当」があります。これはひとり親世帯の子供のための保障です。
ただ、所得制限があったり金額が異なったりと分かりづらい点もあります。
児童扶養手当を分かりやすく解説します。 - 高額介護サービス費制度とは
- 公的介護保険を使い介護サービスを受けると一割程度の自己負担が生じます。
ただ、自己負担が一定額以上になると介護保険とは別の「高額介護サービス費」という公的補助を受けることができます。
制度の仕組みや支給基準、申請方法を分かりやすく説明します。