県民共済に先進医療保障はあるのか?
いま、医療保険への加入を考えています。
色々見てみたけど、保険料が安い県民共済にしようかと思っているんですが、県民共済には先進医療の保障はありますか?
あと、保険会社の保険だと先進医療がしっかりと保障されているんですが、県民共済だけでも十分ですか?
割安な保険料で保障を得られる保険の代名詞として「県民共済」があります。
(ほかにも、都民共済、府民共済、道民共済がありますが、以下では県民共済で統一します。)
県民共済に加入されている方は多いのではないかと思います。
実際に、私も現在の医療保険に加入する前には県民共済に加入していました。
保険料が安いこともあり、各種保険を検討する際に比較対象に県民共済があがることは多いです。
そして、もちろん医療保険への加入を考える際にも同様です。
ただ、県民共済と保険会社の医療保険を比較する際に、意外と盲点となっているのが
先進医療の保障
についてです。
保険会社の保険は先進医療保障は、近年どんどん手厚くなってきています。
はたして、県民共済には先進医療保障はあるのか。
そして、仮にあったとしたら保障の程度はどうなのか。
それらについて説明します。
そもそも先進医療とはどんな制度なのか
先進医療とはどんなものなのか
そもそも先進医療とはどんな治療行為なのでしょうか。
厚生労働省によれば、先進医療とは以下のようなものです。
先進医療は、健康保険法等の一部を改正する法律(平成18年法律第83号)において、「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」として、厚生労働大臣が定める「評価療養」の1つとされています。
具体的には、有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることとしたものです。
出典:厚生労働省『先進医療の概要について』
これだけ読むとかなりわかりづらいのですが、要約すると以下の2点のことが書かれています。
- 保険給付とすべきかどうか評価をすることが必要な、厚生労働大臣が定める高度な医療技術である
- 保険適用の治療と併用することができる保険適用外治療である
厚生労働省が述べる「先進医療」のポイント
以上からわかることは、先進医療が健康保険適用外であるということです。
健康保険適用の治療とは、厚生労働省が保険給付(医療費の7割)を行うと認めた治療のことを言います。
先進医療は、未だそうした保険給付を行うとは認められていない治療です。
しかし、病気の治療への一定の有効性も認められることから、患者の利便性も考慮し、厚生労働大臣が先進医療として指定しています。
厚生労働大臣が先進医療と指定をすることで、以下の2つのことが認められます。
1 指定の病院で先進医療を受けることができる
厚生労働大臣が先進医療と指定することで、指定を受けた病院で先進医療を受けることができます。
ただし、先進医療は健康保険適用外の治療のため、その費用はすべて実費となります。(10割負担)
2 混合診療が認められる
日本の医療制度では「混合診療」と呼ばれる、
「健康保険適用の治療 + 健康保険適用外の治療」
といったように、保険適用外の治療を保険適用の治療と合わせて行うことは原則的にすべて禁止とされています。
そのため、本来は保険適用外の治療と通常の治療と組み合わせて行うことはできません。
しかし、その例外として混合診療を認められるのが先進医療です。
厚生労働大臣が指定した先進医療は、健康保険適用の治療と混合して行うことができます。
確実にいえることは
先進医療制度については以上のようになります。
ただ、先進医療について確実にいえることは、
「治療費が全額実費のためかなり高くなる」
ということです。
先進医療の治療費はどのくらい?高額なのって本当??
先進医療の費用と実施件数
先進医療は実費負担でお金がかかるということはわかりましたが、実際いくらかかるのかは重要なところです。
そこで、先進医療の例をもとにその治療費の平均額と、年間実施回数を見てみたいと思います。
先進医療技術 | 平均技術料 | 年間実施件数 |
---|---|---|
重粒子線治療 | 304万円 | 1,286件 |
陽子線治療 | 259万円 | 2,170件 |
活性化自己リンパ球移入療法 | 139万円 | 25件 |
樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いた がんワクチン療法 |
89万円 | 80件 |
水晶体再建術 | 51万円 | 5,248件 |
腹腔鏡下子宮体がん根治手術 | 52万円 | 289件 |
子宮腺筋症核出術 | 30万円 | 149件 |
うつ症状の鑑別診断補助 | 1万円 | 1,959件 |
※出典:厚生労働省『平成25年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について』(PDFのため注意)
以上のように、金額は受ける先進医療によりかなりの幅があります。
ただ1ついえるのは、かなり高額になる可能性もあるということです。
特に、金額上位の「重粒子線治療」と「陽子線治療」は、がん患者に対して用いられることが多い先進医療です。
そのため、がんになることが多い日本人としては、あまり無視できない先進医療であるといえます。
「重粒子線治療」と「陽子線治療」とは
「重粒子線治療」と「陽子線治療」とは、重粒子線や陽子線でがんをピンポイントで狙い撃ちする治療です。
従来のX線による治療では、がんの周囲の健康な細胞をも傷つけてしまっていました。
しかし、これらの治療法は、周囲の健康な細胞を傷つけずに、がんを狙い撃ちすることができます。
そのため、人体への負担が少なくがんを治療することができます。
県民共済と保険会社の保険の先進医療保障はどの程度なのか
県民共済と保険会社それぞれの先進医療保障額
以上のとおり、先進医療にはかなりのお金がかかることがわかりました。
では、続いて県民共済で先進医療の保障があるのかを見ていきます。
結論から書くと、県民共済に先進医療保障はあります。
ですが、県民共済では先進医療の備えとしては不十分です。
保険会社の医療保険の先進医療保障額
県民共済の先進医療保障を見る前に、保険会社の先進医療保障額を見ていきます。
ここでは、当サイトで例に出すことが多い、オリックス生命の『新CURE』を例にします。
新CUREの先進医療保障額は以下のようになっています。
【先進医療保障額】
保険期間中通算2000万円まで
県民共済の先進医療の保障額
県民共済の先進医療保障額は以下のようになっています。
【先進医療保障額】
保険期間中通算150万円まで(医療保障2型)
県民共済では保障額が足りない
以上のとおり、県民共済の先進医療保障額は150万円までとなっています。
この金額を見ていただければわかるとおり、県民共済の保障額では前述の「重粒子線治療」や「陽子線治療」は全額保障されません。
県民共済の保障のみでそれらの治療を受けた場合、100万円以上の自己負担が必要となります。
このように、県民共済では先進医療の保障としては不十分といえます。
しかし、実はそれ以外にも県民共済の先進医療保障が不十分である理由があります。
その理由とは、高齢になった時点での保障の減少です。
県民共済の重大な欠点である『熟年型』をご存知ですか?
あまり知られていない県民共済の落とし穴
あまり知られていませんが、県民共済の医療保障(入院保障型)には重大な欠点があります。
それは、本当に保険が必要となる高齢時に保障額が減少していくことです。
県民共済の『熟年型』とは
県民共済は65歳を過ぎると通常の保障(以下「通常型)」とは別の保障に切り替わります。
65歳以降に加入できる保障を「熟年型」といいます。
この熟年型は通常型と比べると重大な欠点があります。
それは保障が大きく減少してしまうという点です。
しかも、ただ保障が減少してしまうだけではありません。
熟年型は、年齢ごとにどんどん保障が減少していきます。
もちろん先進医療保障もです。
それを知らずに、県民共済だけで老後の医療を保障しようとするのは大変危険です。
具体的にどの程度保障が減少するのか
では、具体的にどの程度保障が減少するのかを見てみます。
以下では、各保障ごとの年齢ごとに切り替わりを見ていきます。
≪入院保障2型の保障額の移り変わり≫
保障内容 | 医療保障2型 | 熟年医療2型 | |||
---|---|---|---|---|---|
18〜60歳 | 60〜65歳 | 65〜70歳 | 70〜80歳 | 80〜85歳 | |
入院 | 10,000円 | 7,500円 | 5,000円 | 3,500円 | 2,000円 |
通院 | 1,500円 | 1,500円 | 保障無し | 保障無し | 保障無し |
手術 | 2.5、5、10万円 | 1、2,、4万円 | 1、2,、4万円 | 1、2,、4万円 | 保障無し |
死亡 | 10万円 | 5万円 | 5万円 | 5万円 | 3万円 |
先進医療 | 1〜150万円 | 1〜75万円 | 1〜75万円 | 1〜75万円 | 保障無し |
県民共済では老後に保障が無くなってしまう!!
この表を見ていただくと分かるとおり、入院保障型は年齢ごとに5つに分かれています。
そして60歳になると先進医療保障は75万円までとそれまでの半額までの保障となります。
さらに最高齢の保障となる80〜85歳では先進医療保障は受けられなくなります。
このように、県民共済では医療保障が必要となる老後に十分な保障を得ることができません。
まして、先進医療に至っては途中で減額され、最終的には保障自体がなくなります。
以上のとおり、県民共済では先進医療だけでなく入院時の保障としては不十分です。
老後のことも考えるなら県民共済より保険会社の医療保険がおすすめです
県民共済で不安が残るのは先進医療だけではない…
以上のように、県民共済の先進医療保障は老後に不安が残ります。
ただ、不安が残るのは先進医療だけではありません。
上の表をご覧いただくと分かりますが、老後になると県民共済は先進医療保障だけではなくすべての保障が減少していきます。
特に、80歳〜85歳までの間の保障は、毎月2,000円の保険料を支払っても
- 入院時 3,000円
- 死亡時 30,000円
の2つしか保障がありません。
そのため、老後のことを考えると、県民共済だけでは大きな不安が残ります。
私は実際にそうした点に不安があり、保険会社の終身医療保険に見直しを行いました。
保険会社の終身医療保険は、県民共済と比べて以下のようなメリットがあります。
保険会社の終身医療保険のメリット
- 保障が一生涯変わらずに受けられる
- 保険料を60歳や65歳までに全額払い込めばそれ以降は保険料を払わなくても保障が受けられる
- 保険会社それぞれの付帯サービスがつく
- 先進医療が1,000万円〜2,000万円まで保障される
- 保険料は県民共済とあまり変わらない
このように保険会社の終身医療保険は、割安な保険料で一生涯変わらない保障を得ることができます。
ただ、「割安な保険料」がどの程度であるかが重要ですよね。
そこで、実際に私が県民共済から見直した医療保険であるメットライフ生命の「新終身医療保険」の保険料を紹介します。
私が加入したメットライフ生命の保険料を紹介
では、メットライフ生命の「新終身医療保険」ですが、保険料は各年齢で以下のようになっています。
≪メットライフ生命「新終身医療保険」の保険料≫
【算出条件】 男性 60歳払込完了 保険期間:終身 入院日額保障:5,000円 入院保障日数:60日
- 20歳 1,767円
- 30歳 2,537円
- 40歳 4,072円
- 50歳 8,612円(終身払いだと3,207円)
このように、30歳くらいまでに加入すれば、60歳まで保険料を払い込むことで、県民共済とあまり変わらない保険料で、それより手厚く一生変わらない医療保障を得ることができます。
さすがに、50歳になると、払込期間が短くなるため高くなりますが、終身払いにすれば50歳でも3,207円で加入できます。
私は、28歳の時点で65歳まで払い込むように設定して加入しましたが、月の保険料は2,047円です。
県民共済の保険料は月2,000円なので、保険料はほぼ同じです。
それなのに、一生涯変わらず、さらに手厚い保障を得ることができています。
このように、老後のことも考えるなら、老後も保障内容が変わらない保険会社の終身医療保険がおすすめです。
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