保険を預貯金の代わりにとは
銀行預金と異なる方法の”保険”でお金を貯めるとは?
日本人は貯金が好きな人種であるということはよく知られています。
たしかにそのとおりで、銀行に預貯金を持っていない人はほぼいないことでしょう。
そんな中、たまに耳にする言葉に
「保険(養老保険)を預貯金の代わりに」
というものがあります。
よく聞く言葉ではありますが、正直これだけだとどのように保険を使うのかは分かりづらいですよね。
そこで、以下では、
- 保険と預貯金の違い
- メリット・デメリット
- 節税効果
にわけて紹介します。
2つの違いは「保障額の確保のされ方」
保険が預貯金と似ている点
貯蓄性を持った保険の場合、預貯金と似た機能があります。
貯蓄性を持った保険とは、具体的に次のような保険です。
- 終身死亡保険
- 養老保険
- 個人年金保険
これらが預貯金と似ているのは、毎月保険料を払い込んで積み立てるという点です。
ただし、そのお金を積み立てていく仕組みが保険と預貯金とでは全く異なってきます。
なお、学資保険と預貯金の違いについては、子供への保障もかかわってくるため別ページでさらに詳しく紹介しています。
学資保険と預貯金の大きな違いとは?万一の場合の保障の違い
保険と預貯金の積み立て方の違い
例えば、保険(養老保険)と預貯金でそれぞれ30歳から積み立てを初めて、60歳で1000万円を得るように目標を立てたとします。
その場合、保険と預貯金では、1000万円という目標額の貯まり方に以下のような違いが出ます。
預貯金
預貯金の場合、30歳から貯金を初め、60歳で1000万円を目指す場合、30年間毎月概ね28,000円を積み立てる必要があります。
その場合、
- 40歳での貯蓄額は約335万円
- 50歳での貯蓄額は約670万円
となります。
預貯金の場合、万一、途中で事故などにあい亡くなってしまった場合、受け取ることができる貯蓄額はその時点までの金額となります。
万一、貯金を始めてすぐに亡くなってしまうと、受け取ることができる金額はほとんどあります。
この、預貯金のお金が貯まる仕組みを図で表すと以下のように「三角形型」なります。
保険
保険の場合、30歳で保険に加入すれば保険加入開始時点ですでに1000万円の死亡保障額があります。
つまり、預貯金とは異なり、1000万円という万一の場合の保障額をすぐに確保することができます。
万が一、保険料払込み途中で事故などでなくなってしまった場合でも、確実に1000万円を受け取れることとなります。
もちろん、預貯金に比べてのデメリットもありますが(後述)、あくまで死亡保障という点で比較すると、預貯金よりも確実に保障を確保することができます。
また、保険料の支払いさえ終わってしまえば、保険を解約することで積み立てた金額+金利分を受け取ることができます。
図で表すと以下のように「四角形型」なります。
以上のように、保険と預貯金では、1000万円という積立を行う場合に、
その貯蓄額をいつの時点で満額確保できるのかという点で大きな違いがあります。
保険と預貯金のそれぞれのメリット・デメリット
保険と預貯金それぞれにメリット・デメリットがある
上で書いた貯蓄額を確保できるタイミングが、保険と預貯金の大きな違いですが、
保険と預貯金にはそれ以外にもそれぞれメリットとデメリットがあります。
それぞれのメリットとデメリットを比べることで、保険と預貯金の違いがより見えてきます。
保険のメリット・デメリット
保険のメリット
- 契約成立後にすぐ必要な保障額が得られる
- 保障と貯蓄の2つの機能がある
- 所得税や住民税の減税措置がある(後述)
保険のデメリット
- 中途解約をすると、返戻金がない場合がある
- すぐに引き出して使うことはできない
- 持病等により加入できない場合がある
預貯金のメリット・デメリット
預貯金のメリット
- 必要な時にいつでも引き出して使うことができる
- 金利上昇により利息が増える
- 使用用途に制限がない
預貯金のデメリット
- 必要な金額を貯めるのに時間がかかる
- 利息は期待できない
- 利息にも税金がかかる
- 貯蓄ができなくなればその時点までの金額以上は貯まらない
それぞれ一長一短・・・
以上を見ると、保険も預貯金も一長一短なところがあります。
保険の場合、最も優れているのは、保障額をすぐに確保できる点です。
預貯金の場合、最も優れいているのは、積み立てたお金をほぼいつでも自由に使えることです。
保険は死亡するか解約しない限り、積み立てたお金は自由に使うことができません。
ただし、保険の持つ節税機能は預貯金にはない有利な点だと言えます。
預貯金には、節税に使える機能はありません。
保険に具体的にどのような節税機能があるかは、以下で説明します。
預貯金にはない!保険だけがもつ節税機能
保険がもつ節税機能とは
保険が持つ節税機能とは、具体的には
- 所得税
- 住民税
でそれぞれ受けることができる、生命保険料控除制度のことです。
生命保険料控除とは
生命保険料控除とは、年間で支払った生命保険料のうち、一定額を上限に税金が控除される制度です。
支払った生命保険料分の所得税と住民税が、上限枠を限度に非課税になるイメージです。
たとえば、養老保険の場合は、年間
- 所得税であれば4万円を上限に
- 住民税であれば2.8万円を上限に
非課税措置を受けることができます。
(上記は、生命保険料控除の新制度の場合です。)
これは、もちろんですが預貯金にはない制度です。
わずかな額かもしれませんが、仮に30年間払い続けることを考えれば、なかなか侮れない金額になります。
生命保険料控除は、
- サラリーマンの方であれば年末調整で、
- 自営業者の方であれば確定申告で
利用することができます。
なお、所得税と住民税の保険料控除について詳しくは以下ページにそれぞれまとめてあります。
具体的な計算例や、控除額の上限などについて細かく説明していますのでご参照ください。
保険か預貯金かは目的でしっかり検討して選ぼう
保険か預貯金かを比較検討するポイント
以上が、貯蓄性のある保険と預貯金との違いです。
比べてみると、保障額の確保方法に大きな違いがありました。
保険か預貯金かは、
- お金の使い道
- 引出しやすさ
- 節税機能の有無
等の点をしっかりと検討したうえで選ぶ必要があります。
より深く生命保険を知るのにおすすめのコンテンツ