40代〜50代の方が検討しておきたい生命保険とは?
自分の老後のための保障に重点が移り始める時期
40代や50代というと、生命保険に限らず何かと支出が増える時期です。
特に、子供の教育費にかけてはもっとも負担が重くなる時期といえます。
教育費の負担が重いゆえについ自身の保険の事はおざなりになりがちです。
それも仕方ないのですが、それでも老後に備えての備えはしておきたいです。
この年代は保険の転換期
ここで「老後」という言葉を使いましたが、この年代は保険的には老後に向けての転換期に当たります。
20代〜30代のころは、主に子供や配偶者と言った自分が無くなった際に遺族になる人に対しての生活保障がメインでした。
しかし、40代〜50代になってくると、子供や配偶者への生活保障がメインではなく、自分の老後保障に重点が移ってきます。
(もちろん、老後の配偶者の生活保障も必要ではありますが。)
こうした老後に備えることを
- 長生きリスク
- 老後リスク
と呼ぶこともありますが、長生きすることがリスクになるとは何とも皮肉なものです…。
とは言っても、実際に老後を迎えた際、無保険状態ではあまりに危険すぎます。
そこで、老後を迎える前にある程度の備えはしておきたいです。
以下では、40代や50代の方が老後に向けて検討しておきたい生命保険の種類を紹介します。
老後に備えるために必要となるのはどんな保険?
自分への保障も重点を置いて考えて行こう
実際に40代〜50代の家庭での必要な保険を考えて行きます。
なお、以下では子供がいることを想定して説明をしていきます。
もし、子供のいない世帯の場合には、子供のための保障を除いてみていただければと思います。
40代から50代にかけて、自分の老後のための保障も考えなければいけません。
しかし、だからといって、子供が独立するまでは死亡保障も依然として必要となります。
ただし、20代や30代のころに比べて子供が成長しているため、子供の独立までに備える金額も少なくて済みます。
その点も踏まえて、加入を検討しておきたい生命保険を挙げてみると次のようになります。
40代〜50代の子供がいる夫婦世帯の方が検討したい保険一覧
◎:加入が必要な保険
○:加入を検討したい保険
△:余裕があれば加入を検討したい保険
保険の種類 | 加入の積極性 | 保険料の目安 | 備考 | |
---|---|---|---|---|
夫 | 妻 | |||
終身死亡保険 | ◎ | ◎ | 5,000円〜8,000円 | |
収入保障保険 | ◎ | 4,000円〜8,000円 | 夫婦のどちらかが入る | |
医療保険 | ◎ | ◎ | 3,000円〜8,000円 | 終身タイプ |
がん保険 | △ | △ | 4,000円〜8,000円 | 終身タイプ |
個人年金保険 | △ | △ | 10,000円〜15,000円 | 一括払いも検討 |
学資保険 | △ | 10,000円〜20,000円 | 加入不可の場合も |
終身死亡保険
終身死亡保険とは、一生涯保障が続くタイプの死亡保険です。
そのため、加入者が無くなった場合に必ず死亡保険金が支払われます。
終身死亡保険は、必ず死亡保険金がし払われるというメリットがありますが、反面、そのために保険料が高くなるというデメリットもあります。
そうした理由から、自分が亡くなった際に必ず必要となるお金のみを確保するのに向いています。
そうしたお金には、自分が無くなった際の葬儀費用があります。
- お葬式代
- お墓代
の2つです。
上記2つは、各200万円前後で合計400万円程度かかるという統計結果があります。
お墓代とお葬式代の全国平均額
項目 | 全国平均額 |
---|---|
お葬式代 | 188.9万円 |
お墓代 | 211.3万円 |
合計 | 400.2万円 |
【出典】
お葬式代:日本消費者協会『第10回「葬儀についてのアンケート調査」報告書』
お墓代:いいお墓『第5回 お墓の消費者全国実態調査』
葬儀費用については、20代〜30代のうちから加入している方もいるかと思います。
その場合には、その保険を継続していればここで新たに加入しなおす必要はありません。
終身死亡保険は、あくまで本当に必要な金額のみを備えるのに適した保険です。
無理に積み増しすると後で保険料の負担が重くなる可能性があるので、不用意に保障額を増やさないよう気を付けましょう。
収入保障保険
収入保障保険とは、定期死亡保険の一種です。
ただ、定期死亡保険とは保険金の支払われ方が異なります。
詳しくは収入保障保険ランキングのページで紹介していますが、死亡保険金が分割払いで毎月給料のように遺族に支払われます。
そのため、遺族の収入を毎月保障してくれる保険となっています。
この収入保障保険は、自分に万一のことがあった際の子供のための生活費保障として加入します。
そのような用途の場合、必要な死亡保障額は子供が生まれた時点でおおむね2,500万円前後となります。
ただ、もし子供が成長していれば必要な死亡保障額はもっと少なく済みます。
詳しくは、20代〜30代の方が入っておきたい保険のページで書いていますが、子供が中学1年生であれば死亡保障額は1,200万円程度となります。
(もちろん、私立理系大学に進学すればもっと必要となる場合もあります。)
保険料が割安な収入保障保険の検討を
もし、子供が生まれてから子供のために死亡保険に加入していない場合には、このタイミングで収入保障保険を検討しましょう。
収入保障保険は、定期死亡保険の中でも特に保険料が安く、近年加入者が増えています。
また、収入保障保険ではない一般的な定期死亡保険に加入している場合には、更新のタイミングで収入保障保険に見直すと保険料が安くなる可能性が高いです。
更新のある定期死亡保険の場合は、忘れずに見直しを行ってみましょう。
医療保険
医療保険は、ケガや病気を原因とした入院に備えるための保険です。
ここで加入するのは、老後にも保障が残る終身タイプの終身医療保険です。
定期タイプの医療保険では、老後に保障が残らないため意味がありません。
もし医療保険に未加入であれば、早めに加入を検討しておきたいです。
というのも、最悪の場合、加入できなくなる可能性もあるためです。
若い頃はあまり病院とは縁がありませんが、入院患者数は55歳前後から増え始めます。
年齢別の入院人数の推移
また、退院後に完治したとしても、重い病歴や治療歴があると医療保険に加入できなくなることがあります。
そうならないためにも、病気になる前に最低限の医療保険には加入しておきたいです。
終身医療保険は加入時点から保険料が上がることはありません。
そのため、安いうちに加入できれば良いですが、50代頃からは保険料が一気に高くなり始めます。
そうなると、同じ保障内容であっても障害の保険料負担はグッと重たいものとなってしまいます。
この先、60代以降になってくると、その時点で終身医療保険に入るのはなかなか大変になります。
そうならないためにも、医療保険に未加入の方はぜひこのタイミングで加入を検討してください。
がん保険
がん保険は、がんの保障に特化した医療保険の一種です。
このがん保険に入るかどうかはケースバイケースです。
もちろん入っておけば、もしがんになった際の保障は厚くなります。
ただ、当然ながら保険料の負担も重くなります。
そのため、余裕があるなら加入を検討したいです。
また、医療保険に入っていれば、がんによる入院であっても入院時の給付金は支払われます。
そのため、医療保険があれば全く備えがないというわけではありません。
一時金を重視して選びたい
がん保険の主な保障は主に次のような内容で構成されています。
- 入院時の給付金
- がんと診断されたときの一時金
- 抗がん剤治療時の一時金
- 通院時の給付金
もし、すでに医療保険に入っていて、追加でがん保険に入る場合の保険料の負担が重いと感じるようであれば「がんと診断されたときの一時金」(診断一時金)に重点を置いたものを検討してみると良いです。
診断一時金では、がんと確定診断された時点で100万円等のまとまったお金が支払われます。
これは、入院のための費用や一時的な生活費等、自由に使うことができます。
それ以外の保障については、医療保険でもおおむねカバーすることができます。
そのため、もしがん保険を検討する場合で保険料の負担が重いと感じるようであれば、一時金を重視して検討しましょう。
個人年金保険
個人年金保険は、保険という名前は付いていますが、自分のための年金積み立てです。
60歳や65歳等の設定した年齢になったときに、積立てたお金を取り崩して毎月受け取ります。
積立てたお金には、保険会社からの利息が上乗せされるため、手元に置いておくよりもお金が増えるという仕組みとなっています。
50代の方には一括払いがおすすめ
個人年金保険は、保険会社にお金を預けておく期間が長いほど、上乗せされる利息が増える保険です。
そのため、40代の方ならまだ問題ありませんが、50代の方はあまりお金が増えるメリットは享受できません。
そこで、50代の方の場合は可能であれば、加入時に一括払いで保険料を納付すると良いです。
そうすることで、加入期間の初めから預けておく元本が増えるため、元本が基準となる利息も最初から最大になります。
もし、老後資金の積み立てのために個人年金保険を検討する場合には、一括払いも検討してみてください。
もちろん、行うことができる積み立ては個人年金保険に限った話ではありません。
- 十分な金融資産がある
- 余裕のある企業年金が望める
- 定期預金で積み立てたい
以上の様な場合には、無理に加入する必要はありません。
あくまで、老後の生活費の事を考えた場合の1手段として、必要そうであれば加入を検討すると良いでしょう。
学資保険
学資保険とは、将来の子供の教育費などを貯めることを主目的とした保険です。
多少の保障機能は付いていますが、こちらも個人年金保険と同様に積み立てを目的とした商品です。
子供のための積み立てという点では学資保険は加入しておきたいのですが、40代〜50代の方で子供が小学校高学年になっているような場合には、学資保険の加入は難しいです。
というのも、加入できる子供の年齢に制限があるからです。
多くの学資保険で、子供が0歳〜6歳程度までの加入となっています。
(中には10歳ころまで加入できるものもあります。)
また、学資保険は子供が小さい頃に加入した方が、満期で返ってくるお金がより増える仕組みとなっています。
そのため、子供が大きくなってからの加入ではあまりお金が増えることがありません。
どのように貯めていくのが良いのか
しかし、子供の教育費のための貯蓄がないのであれば、何らかの方法で備えておきたいです。
もし学資保険を選ぶ場合には、個人年金保険と同じように加入時に保険料を一括払いをすると効果的です。
(一括払いができない場合には、払込期間を短くする「短期払い」を選びます。)
また、学資保険の他にも定期的にお金を貯める手段としては次のようなものがあります。
- 定期預金
- 財産形成貯蓄(財形)
実際に学資保険に加入した場合、最終的にどの程度お金が増えるのかを考えて、他の貯蓄方法と比較してみると良いです。
その中で、もし学資保険が最も良いと感じれば、学資保険を選択してみると良いでしょう。
どのくらいの資産があるのかを把握して老後に向けての準備を!
家計のピークで大変な時期ではありますが…
40代〜50代の家計というのはとても大変な時期ではあります。
特に、40代の後半以降数年間は、子供のための支出がピークを迎える時期といえます。
その時期は、貯蓄を切り崩しながら子供のために教育費を捻出することになります。
ただ、そんな中でも把握しておいてほしいのが、家庭の資産状況です。
特に、流動性の高いこれらのものは把握しておきたいです。
- 現金
- 定期預金
- 有価証券
これらが今どのくらいあって、将来的にどのくらいになるのかという予測を立てておくと、子育てが終わっていざ自分の老後を迎えた時の安心感が違います。
多くの方が、老後を迎えた際に、いったい今自分の家庭にはどのくらいの資産があり、どういった備えをしていかなけれいばいけないのかという部分が明確になっていません。
これが分からないと、老後を迎える前に少しずつ備えをしていくことができないのです。
例えば、自分が57歳くらいで子供が独立したとして、そこから年金がもらえるまでの間に老後のための備えを行うのは非常に大変です。
なので、大変ではありますが、子育て期間の途中から
- 年金はどのくらいになりそうか
- 足りていない保険はないか
- 無駄に払いすぎている保険はないか
- どのくらいのたくわえを持っておけば良いか
ということを考えていくことが重要になります。
ぜひ、老後に向けて事前にしっかりと備えるようにしてみてくださいね。
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